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登録有形文化財
12.旧仙台高等工業学校建築学科棟
Formerly Architectural Department of SKK High School


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旧仙台高等工業学校建築学科棟 旧仙台高等工業学校建築学科棟 旧仙台高等工業学校建築学科棟 旧仙台高等工業学校建築学科棟

建設年:1930(昭和5)年
構造等:鉄筋コンクリート造3階建
建築面積:480㎡
現在位置:G14 21世紀情報通信研究開発センター
登録年:2021年
>仙台高等工業学校について


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 旧仙台高等工業学校建築学科棟(現在のG14 21世紀情報通信研究開発センター)は、片平キャンパスの南端に位置し、南六軒丁通りに面して建つ建築です。
 仙台高等工業学校は1906(明治39)年に設立され、1912(明治45)年に東北帝国大学の附属工学専門部となった後、1921(大正10)年、ふたたび独立しました。 当該建築は『仙台高等工業学校創立三十周年記念誌』(昭和14年3月 仙臺高等工業學校)および『仙臺高等工業學校一覽 自昭和六年至昭和七年』によると1930(昭和5)年4月7日の文部省令をもって建築学科が新設され、 それに伴い1930(昭和5)年2月7日に起工、10月4日に完成しました。設計は文部省建築課、施工は大阪大林組です。建設費は付帯工事を除き9万2千円でした。

仙台高等工業学校(本館・校庭ほか)(1931(昭和6)年頃):右が建築学科棟

 仙台高等工業学校の正門は敷地南側の南六軒丁通りに向かって開かれており、本建築は1階中央部分をボールト天井を持つアーケード状の通り抜け空間としたため、仙台高等工業学校全体のゲートの役割を持つ建築となっていました。
 長方形の平面を持つ3階建ての鉄筋コンクリート造建築で、屋根は陸屋根、1階のアーケードに面して玄関が配置されています。外壁は全面スクラッチタイル貼りで縦長の窓と連窓が配されています。 通り抜け通路の入口には仙台高等工業学校の「SKK」のマークの入ったレンガアーチが施されています。また東側の階段室を立ち上げ、階段に沿った縦長の窓を配し、立面に変化を与えています。

アーケードから南六軒丁通りを見る
(2013(平成25)年4月)

仙台高等工業学校開校三十周年記念公開
(1937(昭和12)年)
正門の奥に本建築のアーケード部分が見える
この正門は後に西側に移設され現在も片平キャンパスに残っている

 『仙台高等工業学校創立三十周年記念誌』および『東北大学工学部建築学科創立30周年記念誌』(昭和56年5月16日 東北大学工学部建築学科創立30周年記念事業会)によると 建築当初は製図室3、普通教室2、教官室4、図書室2、青写真室、模型陳列室兼自在書室などを配していました。内部は、1、2階は北側に廊下を配した片廊下式の平面、3階は廊下がなく製図室と教室が並ぶ平面でしたが、 現在は3階も下階と同様、片廊下式の平面となっています。

西側階段室

階段室入り口上部の欄間 今も残る建設当初からの黒板

 1944(昭和19)年には仙台工業専門学校と改称。戦後仙台工業専門学校は新制東北大学に包括され、本建築は1951(昭和26)年に開設された工学部建築工学科の建物として用いられることになりました。 1964(昭和39)年からの青葉山への工学部の移転に伴い、1969(昭和44)年7月に建築学科も移転し、その後しばらくの間、空き家となりました。 改修後、応用情報学研究センターや1994(平成6)年からは情報科学研究科が、2001(平成13)年からは、21世紀情報通信研究開発センターによって使用されています。
 近年では2002(平成14)年に内部全面改修、2014(平成26)年にスクラッチタイルの貼り替え、サッシの交換等の外部改修、内部改修など全面的に改修を行っています。

 改修は行われているものの全体的に建設当初の状態を保っています。当時流行したスクラッチタイルを用い、特徴ある美しいアーケード状の通り抜け空間を持つ、昭和初期の表現主義的建築の雰囲気を今に伝える建築です。